オリジナルは、多田淳之介率いる東京デスロックが2011年に発表した『再/生』。反復する身体を通して、再生に向かっていこうとする人間を描き出した演劇作品を、本作では俳優を日本とシンガポールの振付家/ダンサーに置き換えてリ・クリエーションします。ダンスバーションはこれまで京都と横浜で上演し、日本のコンテンポラリーダンスで独自の作品世界を描き注目される振付家・ダンサーが集結。連続で繰り返されるポピュラーな楽曲、サドンデスで踊る続ける8人のダンサーの疲弊していく身体。ダンスの根拠も意味もなぎ倒していくその果てしない構造が、逆説的に演劇を超えたダンスを浮かび上がらせました。
本作は、Offsite Dance ProjectとTheatreWorksとのco-productionで初の国際コラボレーションとして2016年2月に発表。日本と東南アジアのアーティストで、アジア各国にて上演を予定しています。
『Re/Play』は2011年の東日本大震災を受けて私の主宰する東京デスロックという劇団の演劇作品として作られた作品が下敷きになっています。演劇作品としては、「繰り返せないこと」「断絶」などをテーマに作られました。俳優たちはお互い干渉せずに動き続け、ポップミュージックによって発生するイメージを作っては壊し、執拗な繰り返しからアイロニカルに時間や生を舞台上に表出させる作品でした。翌2012年に京都の8人のダンサーたちとダンサー版『RE/PLAY』 を作ることになりました。俳優の多くは舞台上で人間を表現します、むしろ演劇とは人間についての表現だとも言えるでしょう。しかしダンサー、ダンスは身体そのものの存在が具象、抽象様々なものを表現します。そこでダンサーに課したディレクションは「踊る/踊らない」ということでした。「踊る/踊らない」の基準は各ダンサーに任せ、「踊らない=人間」から「踊る=身体」というグラデーションをつけることで、更に多様な身体によるカオスを生み出し、混沌としたこの世界を更に克明に表現する作品になりました。2014年には横浜で再び新たなダンサーと『RE/PLAY(DANCE Edit.)』を創作しましたが、身体性も、ダンス観も、振り付けもバラバラな身体が並び、その断絶による混沌から観客が見出す景色を壊しては再構築し続けるこの作品は、ダンサーの身体が多様であるほど広がりのある作品だということを改めて認識しました。今回のシンガポールでのクリエーションでは日本と東南アジアの身体、アジアの身体から見えてくる景色を楽しみにしています。各ダンサーには、自分にとっての「踊ること/踊らないこと」「動き/振り付け」を思考し、各自のパフォーマンスを作ってもらいます。振り付けに対する私からのディレクションはありません。ダンサーそれぞれがダンスと向き合う姿そのものを構成し演出するのが今回の私の役割です。参加してくれるダンサーにとっても、観客にとっても、ダンス観を見直し、試され、進むことのできる現場になることを願っています。
多田淳之介
初演 『RE/PLAY』
日時:2012年2月4日(土)/会場:京都 元・立誠小学校 自彊室
*「We dance 京都2012」〜「演劇とダンス/身体性の交換」上演プログラム(プログラムディレクター:きたまり)
データ http://www.wedance.jp/2012_kyoto/program.php
トークセッション・レポート・公演写真 http://www.wedance.jp/2012/forum.php
第2回公演 『RE/PLAY(DANCE Edit.)』(新演出)
日時:2014年2月14日(金)〜16日(日)/会場:横浜 急な坂スタジオ ホール
*「国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2014」ショーケース参加作品(主催:きたまり、NPO法人Offsite Dance Project)
データ http://www.wedance.jp/replay/replay2014
レポート・公演写真 http://replay-forum.blogspot.jp/
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